咳を伴ういろいろな子どもの病気

【監修】 富士重工業健康保険組合 太田記念病院 院長 小児科部長 佐藤 吉壮先生

肺炎球菌感染症

肺炎球菌は、気管支炎、肺炎のほか、中耳炎、敗血症、細菌性髄膜炎などを引き起こす場合があります。肺炎球菌による肺炎の症状は突然始まり、胸の痛み、悪寒がします。インフルエンザなどで免疫力が落ちている時にかかりやすく、発症前から上気道感染の症状(のどの痛み、鼻づまり、鼻水、空せき)がみられることもあります。特に2歳以下の子どもは細菌性髄膜炎になることも多く注意が必要です。また肺炎球菌による感染症は重症化しやすい傾向があります。

治療

抗菌薬を投与しますが、最近は抗菌薬に抵抗する耐性菌が多くなり、困難な場合がみられます。
一方、予防のためのワクチンがあり、生後2か月から接種でき、予防効果は高いとされています。

インフルエンザ菌感染症

インフルエンザ菌は主に呼吸器や中耳に感染する細菌の一種で、インフルエンザウィルスとは全く違うものです。症状は、気管支炎、肺炎のほか、中耳炎、敗血症、細菌性髄膜炎など、肺炎球菌感染症と非常に似ており、特に2歳以下の子どもは細菌性髄膜炎になることも多く注意が必要です。急性喉頭蓋炎(こうとうがいえん)の原因菌の代表でもあり、重症例では窒息を来たすことがあります。主に乳幼児、生後半年から4歳くらいに感染し、5歳以降はほとんどみられなくなります。

治療

肺炎球菌感染症と同様、抗菌薬を投与しますが、最近は抗菌薬に抵抗する耐性菌が多くなり、困難な場合がみられます。一方、予防のためのワクチンがあり、生後2か月から接種でき、予防効果は高いとされています。

クループ症候群

パラインフルエンザウイルスなどを代表とするウィルスが原因で、オットセイのような、犬のほえるような咳が出ます。重症化することはあまりありませんが、気道が相対的に細く弱い乳幼児では呼吸困難に陥ることがあります。

治療

薬の吸引と飲み薬の処方で改善。息苦しいときは入院が必要な場合もあります。

百日咳

三種混合の予防接種を受けていない子が罹患します。かぜのような症状で始まり、次第に咳が多くなり、顔を真っ赤にして連続して激しくせき込むのが特徴です。咳のために嘔吐、チアノーゼなどがみられることもあります。生後1歳未満の赤ちゃんの場合、無呼吸など危険を伴うので要注意。

治療

抗菌薬と咳止めが処方されます。通常、菌の排出は咳の開始から約3週間持続しますが、適切な治療により、服用開始から5日後には菌の分離が収まります。しかし、再排菌などを考慮すると、抗菌剤の投与期間として2週間は必要です。また予防効果が高いので予防接種を受けるのが望まれます。

気管支喘息

症状としてはぜいぜい、ヒューヒューといった喘鳴を伴う呼吸困難が繰り返されます。小児では90パーセント以上アトピー体質がみられるのが特徴。ハウスダスト、ダニ、ペットの毛などが主な原因ですが、ウィルス感染による気管支炎の発病、石油ファンヒーターから出る窒素酸化物、たばこの煙なども危険因子です。

治療

吸入薬や飲み薬が処方されます。家庭での留意点は、よく掃除し、絨毯などほこりをためるものはなるべく避ける、禁煙する、暖房器具を吟味する、などです。管理をきちんとすれば、多くは中学校に入るくらいまでによくなります。

*喘息とは違う病気で、喘息性気管支炎があります。乳児は特に上気道(咽頭)が狭く、痰がからんでもなかなか上手に出すことができないため、熱も下がって元気なのにゼロゼロという痰の絡む音がしたり、夜や朝方の咳が続きます。喘息性気管支炎は、乳児期後半から幼児に見られ、成長とともに軽くなります。