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腎移植Q&A

【監修】
大阪市立大学 大学院医学研究科泌尿器病態学 教授 仲谷 達也 先生

移植手術と術後治療

Q14.腎移植の手術はどのようなものですか?

A14. 腎臓は下腹部の腸骨の内側に移植します。ちょうど虫垂炎の手術時の傷を延長させるように約20cm皮膚を切ります。手術内容は血管吻合(接続)と尿管の膀胱への吻合(接続)を行い、手術時間はおおよそ3−4時間です。移植直後は全身麻酔の影響や手術部の痛みもありますが、翌日にはかなり回復して水分や食事も摂れるようになります。

Q15.移植後には尿がすぐ出るのですか?術後に透析を受けるのでしょうか

A15. 生体腎移植ではすぐに尿が出るので透析の必要はほとんどありません。これは脳死からの献腎移植でも同じです。一方、心停止の方からの献腎移植では、腎機能が得られるまでに約2週間かかり、それまでの期間、透析が必要な場合もあります。

Q16.拒絶反応とは何ですか?

A16. 移植された腎臓を異物のように見なしてレシピエント自らの免疫で攻撃する反応(生体防御反応)を拒絶反応といいます。移植後早期に主に出現する急性拒絶反応と移植後晩期に生じ、徐々に腎臓にダメージを与える慢性拒絶反応があります。急性拒絶反応では腎機能は急激に低下しますが、早期発見と『免疫抑制薬』による適切な治療で9割以上の方が回復します。また、現在、『免疫抑制薬』の発達により1年以内の急性拒絶反応の頻度は15%程度です。慢性拒絶反応については残念ながら完全に治す方法がなく、進行を穏やかにすることが治療の目標となります。移植医療技術の進歩により、今や移植手術における拒絶反応は生死にかかわるようなものではなくなりましたが、拒絶反応は移植腎を失う最も多い原因の一つです。このため拒絶反応の予防には『免疫抑制薬』を内服します。

Q17.『免疫抑制薬』とはどういう薬ですか?

A17. 腎移植後は拒絶反応を予防する目的で通常2−4種類の『免疫抑制薬』を服用します。移植腎が働いている限り、ずっと服用しなければなりません。『免疫抑制薬』の副作用として感染症が起こりやすくなったり、糖尿病を合併したり、脂質異常症、肝機能障害、骨髄抑制(白血球減少)、脱毛などを起こすことがあり、細心の注意を払って使用します。なお、副作用が起きた時にも他の『免疫抑制薬』に変更したり、組み合わせを工夫したりして克服することが十分可能です。何か気になる症状があれば、主治医もしくは薬剤師にご相談ください。

Q18.手術後の入院日数とその後の通院はどうなりますか?

A18. 入院期間は経過が良好で特別な異常のない限り移植手術後約3−4週間です。献腎移植やABO不適合生体腎移植ではこれよりも少し長くなります。退院後の約6か月間は月に2−4回、それ以後は月に1回くらい通院し、移植腎の状態の検査や薬の処方を受けます。

Q19.腎移植後に妊娠、出産は可能ですか?

A19. 腎移植後状態が安定していれば妊娠、出産は可能です。しかしながら妊娠中に使用すると胎児に影響を及ぼす可能性のある『免疫抑制薬』、『降圧薬』などがありますので妊娠、出産計画は主治医の先生とご相談ください。

Q20.移植費用はどのくらいかかりますか?

A20. 健康保険や公的な各種医療保険制度が利用できるので、自己負担は低額となる場合が大部分です。その他に保険で賄えない入院時の食事費用や室料、診断書などの書類にかかる費用は別途負担となります。また、ドナーの医療費はレシピエントの保険で賄われ、ドナーは費用に関する心配は不要です。詳しくは最寄りの移植施設でお尋ねください。