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  • 生活習慣と慢性腎臓病(CKD)
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病気の進行と治療方法

一般療法

腎臓病の病状によって異なりますが、腎機能が低下した場合には激しい運動による腎臓への血流量の低下を防止するため、できるだけ安静が望まれます。したがって、重労働や激しいスポーツ(マラソン、長時間の水泳など)は禁止となります。また、ネフローゼ症状が強い場合は入院による精密検査が必要です。
治療中の通勤・通学、家事などはどこまで可能なのかは主治医と相談してください。

表:慢性腎炎およびネフローゼ症候群の生活指導
生活指導区分(成人) 通勤・通学 勤務内容 家事 学生生活 家庭・余暇活動
A 安静
(入院・自宅)
不可 勤務不可(要休養) 家事不可 不可 不可
B 高度制限 短時間
(30分程度)
(できれば車)
軽作業
勤務時間制限
残業、出張、夜勤不可
(勤務内容による)
軽い家事
(3時間程度)
買い物(30分程度)
教室の学習授業のみ
体育は制限
部活動は制限
ごく軽い運動は可
散歩
ラジオ体操程度
(3〜4メッツ*以下)
C 中等度制限 1時間程度 一般事務
一般手作業や機械操作では深夜・時間外勤務、出張は避ける
通常の家事
育児も可
通常の学生生活
軽い体育は可
文化系部活動は可
早足散歩
自転車
(4〜5メッツ*以下)
D 軽度制限 2時間程度 肉体労働は制限
それ以外は普通勤務
残業、出張可
通常の家事
軽いパート勤務
通常の学生生活
一般の体育は可
体育系部活動は制限
軽いジョギング
卓球、テニス
(5〜6メッツ*以下)
E 普通生活 制限なし 普通勤務
制限なし
通常の家事
パート勤務
通常の学生生活
制限なし
水泳、登山、
スキー、
エアロビクス

*メッツ(Mets)
人間は息を吸って摂り入れた酸素で栄養素を酸化し、発生したエネルギーによって活動しています。椅子に静かに座っているだけでも、体重1kg当たり1分間に3.5mlの酸素が必要です。これを1単位と考え、1メッツといいます。

食事療法

腎臓病の食事療法は、(1)弱った腎機能を低下させないこと、(2)たんぱく質の代謝(分解)産物の産生を抑制すること、(3)水や電解質異常を調整し体内のバランスを維持すること、(4)栄養状態に注意し体力を保持することを目的に行われます。
このため、食事は朝、昼、晩、3食きちんと摂るのが基本です。また弱った腎臓に負担をかけないため、たんぱく質の摂取量(標準体重1kgあたり1日1g以下)および総エネルギー量の制限が必要になります。標準体重は、「標準体重(kg)=(身長m)×(身長m)×22」の式で求められます。
高血圧の予防のために、塩分(食塩)の制限が行われます。また、むくみや尿量の低下がある場合には、水分の摂取制限がなされます。腎機能の低下が認められた場合は、カリウム含有量の多い生野菜や果物の制限が必要です。病態によってはリンや水分なども制限されます。なお、食後は20〜30分、横になって食休みを取ることをお勧めします。

表:食事療法に関するガイドライン
急性腎炎症候群の食事療法
  総エネルギー
(kcal/kg*/日)
蛋白
(g/kg*/日)
食塩
(g/日)
カリウム
(g/日)
水分
急性期 乏尿期
利尿期
351) 0.5 0〜3 5.5mEq/l以上のときは制限する 前日尿量+不感蒸泄量
回復期および治療期 351) 1.0 3〜5 制限せず 制限せず
ネフローゼ症候群の食事療法
  総エネルギー
(kcal/kg*/日)
蛋白
(g/kg*/日)
食塩
(g/日)
カリウム
(g/日)
水分
微小変化型ネフローゼ症候群以外 35 0.8 5 血清カリウム値により増減 制限せず2)
治療反応性良好な微小変化型ネフローゼ症候群 35 1.0〜1.1 0〜7 血清カリウム値により増減 制限せず2)
保存期慢性腎不全の食事療法
  総エネルギー
(kcal/kg*/日)
蛋白
(g/kg*/日)
食塩
(g/日)
カリウム
(g/日)
水分 リン
(mg/日)
Ccr≦
70ml/分
35が基準
ただし年齢や運動量によって、適正なエネルギー量は28〜40の範囲になりうる
0.6以上0.7未満
ただしCcr50ml/分以上でたんぱく尿1g/日以下であれば0.9前後で開始することも可
7以下 低蛋白食が実行できていれば通常制限しないが、血清カリウム5.5mEq/l以上のときカリウム制限を加える ネフローゼ症候群およびCcr15ml/分以下では尿量+不感蒸泄量とする 低蛋白食が実行できていれば制限なし
ただし、尿中リン排泄量500mg/日以上のときリン制限を加える
糖尿病腎症の食事療法
病期 総エネルギー
(kcal/kg*/日)
蛋白
(g/kg*/日)
食塩
(g/日)
カリウム
(g/日)
備考
第1期 腎症前期 25〜30   制限せず3) 制限せず 糖尿病食を基本とし、血糖コントロールに努める
蛋白質の過剰摂取は望ましくない
第2期 早期腎症 25〜30 1.0〜1.2 制限せず3) 制限せず
第3期 顕性腎症 25〜35 0.8〜1.0 7〜8 制限せず 浮腫の程度、心不全の有無により水分を適宜制限する
第4期 腎不全期 30〜35 0.6〜0.8 5〜7 1.5
第5期 透析療法期 維持透析患者の食事療法に準ずる

*標準体重
1)高齢者、肥満者に対してはエネルギーの減量を考慮する
2)高度の難治性浮腫の場合には水分制限を要する場合もある
3)高血圧合併例では6g/日未満に制限する

(社)日本腎臓学会編「腎疾患の生活指導・食事療法ガイドライン」1998(東京医学社)より